安定した仕事だと言われている看護師。しかし、どうして仕事を辞めてしまうのでしょうか?単純に仕事が大変すぎるからということもありますが、それ以外にもいろいろと理由はあるようです。では、ここからは看護師の離職の理由に着目してみましょう。

<看護師の離職理由>

・結婚や出産のため

現在でも看護師の90%以上は女性が占めています。20代、30代の若い年代も多く、結婚や出産といった女性ならではの退職理由も多く聞かれます。特に看護師の仕事は勤務時間が不規則で、病棟では夜勤もあるために家族と時間を合わせにくい、子育てをしながら続けることが難しい、という問題があります。病院によっては部署の変更等で対応してくれることもありますが、それを機会に看護師を退職したり、別の職場に転職する人も多く見られます。

・職場の人間関係

これはどこの職場でもある理由ですが、看護の現場ではほとんどが女性ばかりなので話が複雑になりがちです。常に忙しい現場なので誰もがついイライラ、セカセカしてしまって当たりがきつくなることも多いようです。他にも職場内でのいじめや派閥問題、パワハラといった話も珍しくなく、それが原因で適応障害やうつ病になってしまった人も報告されています。

・精神的な疲労

看護の仕事は「感情労働」とも呼ばれ、常に精神的なストレスにさらされています。感情労働とは接客など対人的な仕事を指す言葉で、相手の機嫌を損ねないように自分の感情を押し殺し、要求にはできる限り応えなくてはなりません。看護師の場合は、対応する相手が病気や怪我の「患者」なのでより慎重に対応する必要があります。中には問題行動を起こしたり、理不尽な要求を出してくる「モンスター患者」もいてますます気をつかわなくてはなりません。そんな毎日に疲れ果てて看護師を辞めていくケースも少なくありません。

・リアリティショック

これは新人看護師に多い理由ですが、リアリティショックとは、新しい仕事に対して自分が持っている理想と現実の違いに衝撃を受けることを言います。看護師を目指す学生の中には「人のためになる仕事をしたい」「子供の頃からあこがれていた看護師になりたい」などと、高い理想を掲げている人ががよくいます。しかし、実際に仕事が始まってみれば、自分の思ったようなことができなかったり、職場が想像していた雰囲気とは違うことも当然あります。もちろん、看護学校では現場実習などもありますが、やはり学校の勉強だけでは分からないことも多く、理想を高く掲げすぎているとそれが原因で挫折してしまうこともあります。

他にも、キャリアアップのために転職する場合や、病院の経営方針や教育体制に反発して辞めてしまう看護師の話もよく聞かれます。看護師の仕事はとても難しく、誰にでもできる仕事というわけにはいきませんが、無益な転職を繰り返す看護師も問題になっていて全体的な取り組みが必要になっています。