地方の離職率が低いのはなぜでしょうか?鳥取県・島根県・和歌山県といった地方の離職率は東京や大阪などの都会に比べると半分以下にまでなっています。この主な理由は都会とは対照的に「転職がしにくいから」という側面があるようです。

看護職の求人に限ったことではありませんが、景気の影響もあり地方や田舎では看護師が仕事を辞めても都会のように簡単に他の仕事を見つけることができません。同じような看護の仕事を求めても、山間部など場所によっては山を越えなくては他の病院がないこともあります。また、地方では看護職は他の仕事に比べると給料がいいのも事実です。例えば、看護師が時給換算で1000円以上なのに対し、一般の仕事では時給が750円程度ということもあり、収入を考えれば安易に転職もできません。看護師の仕事はきつい仕事なので同じ時給でもっと楽な仕事でもあれば転職したいところでしょうが地方ではそれが叶わない、つまり簡単に言えば「仕方がないから我慢してやっている」からこそ地方では看護師の離職率が低くなっているのです。

一般の仕事や結婚生活でもそうだと思いますが、若手の看護師も三年目くらいになると「これでいいのか」と思う時期が来ます。仕事に慣れてくる一方、事務的な仕事も増えて本来の意味の「看護」から離れてしまい、自らの状況に思い悩んでしまうこともあるといいます。そんな時に都会では他の職場や別の仕事がすぐに目に入ってきますが、地方の場合はそれがない。他に選択肢もないのでやっぱり「仕方がないから続ける」ことになってしまうのです。

そういった状況なので、地方では看護師が結婚や出産をしたからといっても簡単に退職することもありません。子育てをしながら看護師の仕事をするのはとても大変なことですが一旦産休を取ってもだいたい1年くらいで復職します。休もうと思えば3年は休めますが、医療業界でそこまで休んでしまうと復職した時にはもう現場についていけなくなってしまうので多くの人が早めに職場に戻ってくるようです。それに対し、病院内の保育所の利用やシフト調整など、病院側もある程度の配慮はしてくれますがそれでも夫や実家の助けも借りざるを得ず、周囲の人たちの理解とバックアップも必要になってきます。

それでも看護師の仕事が大変なのは変わりありません。あらかじめ決められたシフトがあるので子供が急に熱を出したりしても休めません。誰かに代わってもらおうにも今度は相手が大変になってしまいます。夜勤を含んだシフトなので下手をすれば過労から医療ミスにつながってしまう可能性すらあります。たとえ子供が心配でも、実家に無理を言って預かってもらい出勤することもあるそうです。

地方の看護師の離職率が低いのは看護師の家族や周囲の人たちのサポートがあってこそでもあるのです。